朝、カミさんに起こされる。
「天ちゃん死んだみたい。息もしてない」
あわてて行ってみる。寝る直前に見た姿と一緒の姿勢で固まっていた。あの時に既にこと切れていたか、その寸前だったか。
無念。次第に身体の自由がきかなくなっていき、最後ははばたきもろくにできずに這い回るだけだったのに、それでも最後まで生きようとしたというか、遊ぼうとしていた。苦しまずに逝けただろうか。
小鳥というのは一般的に直前まで元気で、突然ぱたりと死んでしまうのが普通なのだが、この子はずいぶんと長く生きたと思う。自然状態なら足がきかなくなった時点でアウトだったろうから。でも死ねずに、猫とかに食べられるか、餓死するかまで生きなければならなかっただろうということを考えれば、いくぶんはましだったかもしれない。
逆に、治療のしようがなく、ただ見ているだけだったというのはとてもつらかった。猫や犬ならまだやりようがあったから。まあそれにも限界はあるのだけど(人間のようにぎりぎりまで治療の努力はきかないから)。
強まる雨の中、庭の端に埋めた。近くに晴ちゃんも眠っている。最後に会えただろうか。もう覚えてないかもしれないが。仲がいいので一緒に買ってきたのだが、病気があって早世してしまった鳥だ。その分まで長生きしたのだと思いたい。
いやまあ、そんなのこっちの勝手なセンチメンタリズムに過ぎないんだが。
その後カミさんと出かける。そこで昼飯を食べ、帰り、いろいろやってナノを迎えに出る。
夕飯は焼き豚カツ。付け合わせはニョッキ。なんか作りたかったんだよう。天ちゃんに献杯しながら食べ、夜中落ちそうになって、よく考えるとあんまり寝てなかった事実に思い当たり、そのまま寝る。
カゴはまだ片づけてないが、視線の端に入るたび、寒くないかとか外の景色見せてやった方がいいかなとか、一瞬考えてしまう自分がいる。もう必要ないのにな。鳥という生き物はとても好きだが、もう飼わないと思う。ナノはかわりのを飼う気満々のようだが。もうちょっとしたらわかってくれるかな。