もうね。もう、心が擦り切れそうでした。4年ぶりに拝領した仕事、簡単だなんて思ってなかったけど、ここまでとは。リハビリにはあまりにハードでした。主に精神的に。
いや、発注元の問題ではないのです。自分の自分に対する追い込み方というか。それ間違っちゃって、えらいことになったわけです。具体的になにがどうとは書かないし書けないですが、そりゃあもうこの何年か暇だったおかげでついた体力とか色々なプラスの部分が、わずか1週間ほどで吹っ飛んだというですね。目の下の隈、無くなってたのになー。
で、そんな死ぬ思いして出したブツが根本的にダメで戻ってきて、先方にフォローしてもらってようやく完遂できたってのは、この年齢にして非常に情けなかったわけです。やっぱり、こういうのって「さすがこの人に任せておけばなんとかなる」って言ってもらいたいじゃないですか。そうじゃなきゃ、若い人に比べて体力的に不安のある人間に仕事出そうなんて思わないし。
てな訳で自分を追い込んでしかも失敗したという笑えない状態だったわけですが、なんとかそれでも仕事にケリがつき、急に暇になったことと若干の金銭的余裕ができたせいで、あらぬ考えが浮かんできたわけです。
「そういや、夏場のイタリアに行ったことなかったなー」
とりあえずそういうサイトでいろいろ調べちゃいますよね。7月からがハイシーズンなんで、その前に行ければいいかなーとか。もちろんこの時点では本気ではありません。別方面の仕事もあるし。6月が締めの某仕事もあったから、ここで穴を開けて迷惑かけるわけにはいかなかったし。実際、出発までケアしてたんだよなー。出発って6月27日ですよ? もちろん飛行機の中でもネット使えるように備えてね。
ああ、(この時点での)未来の話をしてはいけない。
航空券は5月から6月にかけてそれなりに安いことがわかりました。ネットの使える飛行機(この時は、単に暇つぶしになるからという発想だった)でもそれなりに。この時は日航とルフトハンザが候補だったんですけど(後は時間がかかりすぎたり、機材搭載機に当たるかどうか微妙だった)、日航は羽田発着だったので除外(成田じゃないと海外行く気にならなかったのです。こう、なんつーかあの面倒そうな感じがですね、いいわけですよ。もう気が済んだと言えば済んだけど)、結局ハンザにしたんですが、そもそもここからが失敗だったような気がしてなりませんや。しかもハンザって全日空と交互に機材使用してたんで、片方はそもそもネット使えるかどうかギャンブルだったので選べる日程が限られていて、この辺もなかなかに厳しかったという。
いやいいんです。結果的に、後で考えたら印象深い旅になったわけだし、当時は苦しかったけど、いまになってこんなもの書く気になったわけで。普通に無難な旅だったら、なんかなんとなく思い出すこともなくてそのまま忘れちゃってたかなとか。
あー、この辺の話はそれほど重要じゃないし。
さて、航空券がなんとかなりそうだとわかると、今度はそこから先の話。漫然と行くだけじゃつまんないなーと思ったりしちゃったのが運の尽き。夏のイタリアとくれば南。それも島しかないと思い定め、島となればマレッティモやらなにやらあるけど、一人でマレッティモなんて40代でもやれるかどうかの凶悪な挑戦だし、そもそもあそこ1週間はいないと意味ないし、行くなら家族でと思ってるので、それならもう一つのエオリエ諸島しかないなと。そしてエオリエならストロンボリ島しかなかろうと、なんか一瞬にして考えが至ったわけです。
で、それだけじゃつまんないから(また行く確証があるならここで終わらせた可能性は高い)、じゃあ交通的にどうにでもなって、あんまり行ったことのないトスカーナ地方もよかろうと。
こんな感じで旅程が決まったわけです。もちろんアスティは外せないので、最後はトリノから出国のパターン。しかもトリノの空港のそばには、典型的なピエモンテの食堂であるTre Gufiという店があり、大トリにそこに行くという大目標を設定し、これで完璧と悦に入ったわけですね。
ええ、自分、基本イタリアには飯を食いに行ってるだけですから。最近は町並みを見るのも同じくらいの比重になってるけど。
旅程は実質1週間でこなす必要があり、その時点で既に無理があったんですが、なにせ冒険旅行を標榜しているので、この無理な行程も冒険であろうと。その割には間に合わなかった時の悔しさは受け入れ難かったりするわけですが。それくらいじゃないとミッションを完遂できないだろうというのもあったりね。
さあ、目的やら旅程やらが決まったら、次は具体的なプランニングに移るわけですが。もちろんエアプランニングね。この時点までは。
ホテルはBooking.comとかあるんでいいんですが(AirBnBは勘弁)、問題は現地の移動手段。FS(イタリア国鉄)はネットでダイヤ検索できるんでまだしも(それでも、6月中旬以降のダイヤは検索できず。かわりに、おなじ曜日で6月頭あたりを検索して、だいたいおなじと思い込むことにした)、バスやらフェリーやら使うとなると情報はネットにはほとんどなく、必死で調べて(なぜ必死w)フェリーのチケット予約サイトでフェリーの時刻表は分かったものの、バスは全然なので考えから排除して、後は短距離ならタクシーしかないかーとか、まあかなりアバウトに具体的移動手段について検討を始めたわけです。
まあ、空港間のバスなんかは一応ブログに載ってたりしたし(後で現在はまるで違ってることを知るわけですが)。
ここまでくるともう止まらなくて、予算の計算始めたり、ホテル物色したりで、このまま予約取っちゃえば行けちゃうってところまで詰めちゃったりして。Booking.comなんか2日前までキャンセル無料だったりするから、本当に予約入れちゃったり。予約ボタン押しながら、「大丈夫大丈夫、キャンセル無料キャンセル無料」とか呟いたりな。
でも本当にキャンセルするときは悔しくて仕方ないんだぜ。
そんなこんなで5月に入るわけです。ひとつ山は越えたが、まだまだ仕事は残っていて。それをこなす日々が待っていたわけです。