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2003年1月14〜21日イタリア旅行記

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2.肉づくしの夜 a NAPOLI

 話は少々遡ります。
 出発前、成田で、カミさんがイタリア語会話の本を買ってくれました。なんというタイトルかは知るべくもありません。なぜなら、行きの飛行機に忘れてしまったからです。
 その時は、数日後にトリノの空港に寄るということをカウンターに告げ、そのまま乗り継ぎ便に乗ったのですが、アオスタからナポリへの移動の最中、すっかり舞い上がっていたわたしは、その本のことをカウンターでたずねることなど頭から吹っ飛んでいました。

ÉCÅ[ÉGÉXÉuÉbÉNÉXÉgÉbÉvÉyÅ[ÉW

ÉNÉçÉlÉRÉÑÉ}ÉgÇÃÉuÉbÉNÉTÅ[ÉrÉX

これは、アオスタのPraetoriaというトラットリアの生ハム盛り合わせ。

 気づいたのは、すでにカウンターをくぐり、待合室でぼんやり座っていた時のことです。
 もちろん、たかが(個人的にはそんなこと全然ないのだけど)本一冊、かの○リタリ○がちゃんと回収してとっておいてくれたとはとても思えないのですが、それでも、そんなことをいまさら思い出す自分の間の悪さにがく然とした記憶があります。
 とにかく、旅のすべてを通じて、この間の自分の間の悪さときたら、われながらあきれるほどでした。
 いやもちろん、これを誰かのせいにするつもりはありません。なにか見えない力によって、すべてがそういうふうに動いていたなどと、オカルティックなことを言うつもりもありません。
 要は、そういう巡り合わせだったのでしょう。

 さて、なんとか早朝にアオスタを発ち、トリノでいまひとつの中華を食べ、無事に飛行機にも乗れて、ナポリに到着しました。
 既に時は夕暮れ。うら寂しささえ漂う空港から、暮れ行く街中を3sのバスに揺られて駅前まで行き、そこから友人夫妻宅に電話をしました。なんとか連絡がつき、電車にもあっさり乗れ、友人夫妻の家にたどり着くと、ようやく、それまでのつらさから解放された気分になりました。
 とにかくいただいたワインのおいしさに(ご本人のページにあるのですが、近場にあるかなり美味なワインの蔵元から買い入れてきたもので、めったに呑めないものでした)、それまでの疲れというか、気分の落ち込みが救われた気持ち

ナポリ空港にて。じつは帰りの写真だったりするけど。

なり、さらにその後待っている肉料理専門店での食事会に胸を躍らせた記憶があります。
 食事で気分が持ち直すというのは、あまりに現金だと思われるかも知れません。
 でも、すくなくともその時のわたしはそうでした。そして、その食事は、「たかが食事」などというものではありませんでした。
 肉料理専門店の料理もすばらしかったし、そこへ向かうドライブも楽しかった。高速道路から見えるナポリの夜景は、それは幻想的だったことを覚えています(ま、旅行者特有の感傷と言われればそれまでかも知れませんが)。
 しかし、一番すばらしかったのは、その場の雰囲気、特に、何の知己もないわたしたちを、わざわざ週末で席に空きのないところを無理を言って入れさせてくださったナポリ在住のアキ・ダモーレさんご夫妻と、もちろん、そのアキさんにご紹介していただき、この食事に同行してくださった友人アルドさんご夫妻のおもてなしの気持ちでした。

 長いこと、忘れていたような気がしますが、食事は、素敵な人たちと楽しく食べることが一番の調味料なのだとあらためて思い知らされました(別に料理は二の次だなんて言うつもりはありませんが。実際、料理の内容もすばらしかったことを付け加えておきます)。悔しかったのは、うまく言葉が出なくて(せめて英語だけでも!)、きちんとお話ができなかったこと。もっと会話できればより楽しめたのにと、いまでも思います(いつもアキさんが通訳してくださってるわけですが)。もっとも、それも翌日……いえ、これは後に譲りましょう。

 さて、とにかく食事を楽しむことに一所懸命で、ほとんど記録を残しておりませんので、不確かな記憶にしたがって書くしかないのですが、そのお店'La fattoria del Campiglione'での食事の内容は、だいたいつぎのようなものでした。
 まず、つぎつぎと運ばれてくる前菜。3種類くらい出たと思います。各種ハムの盛り合わせ、それに小さな丸い揚物(たぶん、あったと思うのだけど)、それにもうひとつ温菜があった(もしかしたら、冷菜もひとつ?)ような気がします。
 もちろん、どれも美味しいものばかり。特に、ハムの盛り合わせが圧巻でした。わたしたちは、前夜までその本場であるはずのアオスタにいたはずなのに、全然味で負けていない! ラードのハムはもちろん、日本人のよく知っているプロシュートも、極上の味でした。これらのハムは全部自家製だそうで、なるほど、さすがに量産品とは一味違うわけだと納得でした。
 もちろん、他の前菜もすばらしい味で、じつはカプリ島の☆☆☆☆☆ホテルの支配人であるアルドさんが手ずから選んでくださったワインも、それはそれは美味しくて、パスタの前からすっかり出来上がっておりました。
 というか、小食のカミさんは、前菜の段階ですでにその量に圧倒されておりました。もちろん、経験はそれなりに積んでおりましたので、そこらあたりでセーブすることも忘れてはおりませんでしたが、なにせ前菜のあまりのおいしさに、危うく歯止めがきかないところではありました。

 料理はすべてお任せでした。じつは、わたしは個人的にこのやり方が大好きで、完全に信頼できる料理人さんに「次はなにが出るかわからない」状態でお任せするのが最高の楽しみなのです。
 これはたまたまこのお店がそういうやり方をしてくださるところだったおかげでもあるのですが、アキさんは他のお店でもおなじように配慮してくださることが多く、食事の時には本当に楽しませていただいています。
 お店はとにかく満員すし詰め(ってイタリアだけど)状態で、それなりに広い店内に家族や友人たちで訪れた人たちがいっぱいでした。とにかく、お手洗いに立つのも一苦労。
 でも、その人たちの陽気な話し声に、照明を明るくしている店内の雰囲気は開放的で、けっして狭苦しくは感じませんでした。
 このお店に行くことは、イタリアに行く前から決まっていたことでして(でなければ、たぶん席が取れなかった……かどうかはわからないけど。アルドさんは本当にスゴイ人なので)、その時のわたしたちの気分に合わせて、というわけではなかったのですが、落ち込んでいたわたしたちをうきうきとさせてくれるには十分なものでした。

 パスタはやはり3種類ほど。チーズたっぷりのカネロニとスープに泳がせたラビオリ、あとロングパスタが一品あったと思います(いや、ショートだったかな? あと、リゾットは……なかったか)。いい加減ですみません。でも、南部イタリア、特にナポリと言えば海産物という固定観念がありますが、さすがに肉専門店、北部系パスタが本場なみかそれ以上にうまい。もちろん量はたっぷり。
 すべてのパスタはもちろん肉系のものですが、もちろんひとつとしておなじ味付けの皿はありません。おなじようにパスタ生地に包むものでも、中身に入れるものがまったく違う。チーズで処理したものがあれば、あっさりめのスープで楽しむもの、濃厚なソースで食べるものとさまざまで、パスタ料理だけでメインを食べた気分でした。
 もちろん、メインは別にありますけど。
 メイン料理は焼いた肉のオンパレードでした。鹿、羊、子牛あたりだったと思いますが。
 ソースや付け合わせももちろん美味しかったのですが、品目を忘れても、これだけは覚えています。とにかく、肉そのものがうまかった。肉の質はもちろん、焼き加減もすばらしい。もともと脂身の少ない赤身肉が好きだったんですが(獣脂はどうも頭が痛くなって)、お腹がいっぱいなのに、ワインと一緒にいくらでも入りそうな気分でした(あくまで気分だけだったけど……でも、この日は食べたなあ)。

 本当に、本当に、まったく時間を気にせず、夜の10時くらいから始めて、食べ終わってお店を出たのが夜中の1時くらいだったんではないでしょうか。このゆったりさ加減がとても心地よかったです。あんまり心地よくて、帰りの道をまったく覚えていないほど(要するに寝てしまったわけですが)。
 一応、身体を壊した経験があるので、食事後3時間はなにがあっても寝ないように心がけているのですが、この時ばかりはそんなこと関係ありませんでした。そして、普通はそうやって寝ると翌日胃もたれで大変なことになるものなのですが、翌日はじつに爽快に目を覚ましました。
 これ自体、今回の旅行では初めてのことでした。

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