1.アオスタの悪夢
2003年のイタリア旅行は、さんざんな始まりでした。 2002年の暮れ、えらい高さに積み重なっていた仕事を、翌年年明け早々のイタリア旅行を餌にどうにかこうにか終わらせて、しかしその時点では旅行までまだ一ヶ月強あるからと、次の仕事を無理に進めようとしたのが間違いだったのかも知れません。 結局、ひと月半かかって、進んだのは本のプロローグ部分のみ。なんだかんだ言って全体の十分の一にも達していません。で、出発前にせめてその倍くらいは書いておきたいと、前日まで徹夜で仕事していたんですが、それが悪かったのでしょう。飛行機の中でのどの痛みを感じた時は、まだなんとかなると思っていました。 が、ローマに到着する直前、体調が最悪の状態になりました。たぶん、熱くらい出てたんではないかと思います。鼻水も止まらない、出かける時につけた指の傷は化膿して悪化しているし、意識は朦朧。あの時なんとか動くことができたのは、ひとえにこの後待っているものを楽しみにしていたおかげだったと思います。
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